みなさん、最近靴買いましたか?春になると新生活のために新しい靴を買う機会が多くなりますよね。
新しい靴を買ったらすぐにでもウキウキでお出かけしたいところですがちょっと待ってください。
履き下ろす前にメンテナンスが必要です。
え?新品なのにメンテナンス?と思われる方もいらっしゃると思いますが実はこの事前のメンテナンスが今後の靴の寿命を左右することもあるのです。
ということで今回は革靴の履き下ろし前のビフォアケア、通称“プレメンテ”の必要性や方法を解説していきます。
最後までお付き合いよろしくお願いします。
なぜプレメンテが必要?
まずはなぜプレメンテが必要かというところから。
みなさん、革靴を購入する際にメーカーの工場まで出向いて出来たてほかほかを買いますか?
パンでもあるまいしそんなことはまず無理ですよね。
工場で生産された製品は輸送され販売店に届きます。生産されてからすぐ出荷という訳でもないですし、販売店に届くまでも卸売店などで在庫として保管されている場合もあります。
ようやく店頭に並び、そこから購入した靴を自宅に持ち帰るまで一体どれほどの期間が経過しているでしょうか。
そう、いくら工場や工房で最高の状態に仕上げてくれていたとしても私たちの手に届くまでに必ずと言っていいほど革靴は乾燥しているのです。
靴が乾燥しているとどうなる?
革靴にとって革が乾燥していて良いことなど1つもありません。
革に限ったことではありませんが乾燥したものは硬く、もろくなります。その状態で靴を履いて歩くと必要以上に革に負担がかかってしまうのです。
もちろん完全にパサパサに乾いているわけではありませんので履いた瞬間にひび割れるなどは起こりませんが、無駄に革にダメージを負わせる必要はありませんよね。
また革が硬いと歩行の際の靴のそり返りが悪いため、履き心地にも悪い影響を与えるので靴擦れも起こりやすくなるでしょう。
やってみようプレメンテ
さて、ここからはサフィールシューケアトレーナーの称号を持つ私がサフィール製品を使ったプレメンテナンスを実践していきます。
今回メンテナンスをする新品の靴はこちら。
先日のレイマー展示・試着会で購入した”EIJO”です。
それでは順を追って解説していきます。
古いクリームを落とす
まずは靴用のリムーバー(汚れ落とし)を使って表面に付着している古いクリームを落としていきます。
今回はサフィール製品の中でも数少ない汚れ落としに特化した商品、“コンディショニングクリーナー”を使用していきましょう。
リムーバーを汚れ落とし用のクロスに着けて革の表面をやさしく、全体的に撫でていきます。汚れ落とし用のクロスがなければ着なくなったTシャツなど、コットン系の切れ端とかでも大丈夫です。
時間が経って乾燥したクリームを落としてあげることで後に塗りこむクリームが入りやすくなります。
それと個人的にはリムーバーを使って拭ったクロスにどれくらいクリームが付着するかを確認し、現在の革の状態を見極める目的もあります。
クリームがあまりつかなければ乾燥気味、逆にクリームがべっとりついていると油分過多なのでその後のケアの工程を少し変えていくのです。
主観ですがジャランスリワヤやJ.M. WESTONは結構クリームべっとりついている場合が多い気がしますね。
ちなみに今回はこんな感じ。
両足でこの程度なのでどちらかと言うと乾燥気味。この後のケアをしっかりしていきましょう。
デリケートクリームで下準備
リムーバーで表面をきれいにしたらお次は靴クリームを入れる前の下準備です。
“スペシャルナッパデリケートクリーム”を靴全体に薄く塗りこんでいきます。
前項で布にクリームがべっとりクロスに付着していた靴は油分過多になる恐れもあるのでこの工程を飛ばしてもかまいません。
ライニング(靴内部)が革であればこちらにも同様に塗りこんでいきましょう。こうすることでより柔軟性が高くなり履き馴染みも良くなります。
デリケートクリームは水分量が多く、革に潤いを与えてくれるクリームです。ワックス成分が含まれていないものがほとんどなので、色の薄い革にもにシミを作りにくいという特徴があります。
また靴クリームと違ってカバンや財布など他の革製品にも使えるので1つ持っておいて損はないでしょう。
靴クリームを塗布する前にデリケートクリームを入れることで急激な油分の浸透を防ぎ、シミなどを作りにくくしてくれます。特に乾燥している茶色の靴などは事前にデリケートクリームを塗布するのがおすすめです。
アウトソールはどうする?
アウトソール(靴底)が革で出来ている靴の場合はこちらもケアしてあげても良いでしょう。
靴底のケアには“ソールガード”というアウトソール用のオイル、またはTARRAGOの“プレミアムデリケートクリーム”がおすすめです。
TARRAGOプレミアムデリケートクリームについてはコチラ
ただ、こちらは新品の状態だとソール用のオイルやクリームが入りにくいこと、きちんとした商品でケアをしないと滑りやすくなること、ケアをしてもこの段階ではそこまで変化を感じられないことからプレメンテは見送っても問題ないと思います。
ある程度底が削れて来たらケアしてあげるくらいでOKです。
また靴底がラバーの場合は何もする必要はありません。今回の靴もラバーのためメンテは割愛します。
靴クリームを塗ろう
さあいよいよお待ちかねの靴クリームのお時間です。使用する靴クリームはもちろん“クレム1925”。
このクレム1925は靴クリームとしては珍しい油性タイプでツヤの出かたと持続性、浸透性がピカイチです。
これを靴全体に薄く指で塗っていきます。今回は靴の色に合わせてコニャックを使用。タンの部分なんかはニュートラルを使うとライニングへの色移りが防げますよ!
クリームを塗り終わったら豚毛ブラシで素早くブラッシング。そして汚れ落としの時に使ったクロスなどで乾拭きします。
革に浸透しなかった余分なクリームを拭き取ってあげましょう。
靴の表面のべたつきをきちんと拭ってあげることでツヤが出やすくなる、ホコリが吸着しにくくなる、パンツの裾への色移りを防げるなどの効果があるので意外と重要だったりします。
そして最後はプロのひと手間を加えて完成!
もっちり、しっとり、ツヤツヤになりました。
ちなみに履いてみるとこんな感じ。
ミリタリー系のパンツとよく合いますねえ!
まとめ
今回は意外と知られていない新品の靴のメンテナンス、通称“プレメンテ”について解説していきました。
目を通していただいてわかったとは思いますが私がやっているプレメンテは基本的には通常のケアとあまり変わりません。
重要なのはしっかり革の状態を見極めて適切なケアをすることです。今回のやり方を参考にしつつ、靴に合ったケアをしてあげましょう。
中にはクリームやオイルをたっぷり入れて何日か放置するみたいなプレメンテ方法もありますが、正直新しい靴は早く履きたいものです。
メンテナンスはそこそこに、たっぷり履いて定期的にしっかりケアをして革靴ライフを楽しみましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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